見た映画

見た映画の記録です。

「独立愚連隊」(1959年、日本)

最近の日本の戦争の映画、何があかんといって、兵隊の号令がなってない。この映画では号令や命令伝達場面がしばしば出てくるが、あの独特の喋り方と発声がないと嘘臭い。
 
本編は、娯楽作品と言うが、話のベースは慰安所を運営する商人と副官が結託して部隊の資金や物資横流しをしているという軍内部の不正。
副官は、不正を告発しようとしたり、不正に気づいたりした者は殺すか、最前線に突出した小哨--独立愚連隊--に島流し。それに気づいた隊長までも事故に見せかけて殺そうとする。
副官の不正の隠蔽のために設けられた戦略的に無意味な小哨、その小哨を維持するために送り込まれた何も知らない兵隊。意味もなく兵がどんどん死んでいく。
この設定で娯楽作品というにはしんどい。
その副官の不正を大隊長に告発しようとして殺された見習士官の兄が、軍を脱走し、従軍記者を装って、弟の死の真相を暴こうとする。
死の真相が明らかになる過程は独立愚連隊の隊長の軍曹との心理劇。これも結構しんどい。
最後は、副官との決闘があってすっきり終わる。この場面、伏線が仕込んであって非常に良くできている。
悪徳商人と副官は、占領が終われば軍票なんか紙くずになると言って、持ち出そうとするのは、金貨とアヘン。この辺りリアルだ。
但し、娯楽色を出そうとする余りというか、岡本喜八だからなのか、副官を倒しただけでは終わらない。攻めてきた500人の中国人部隊に独立愚連隊が10人で立ち向かい、唯一生き残った主人公が馬賊になる、というどないやねんみたいな結末がなんとも。
けれども、真面目にやってしまうと「真空地帯」になってしまうし、難しい。
名高い「ワイルドバンチ」(1969年)のラストシーン、「独立愚連隊」の対500人戦が先にあると知ると、そんな先進的か? と思える。