見た映画

見た映画の記録です。

「道」(1954年、イタリア)

鎖の留め金を胸の力で断ち切るという怪力とコントを芸とする旅芸人ザンパノ。そのザンパノに1万リラで買われたジェルソミーナ。
三輪バイクの荷台で生活しながら各地を旅する。
ザンパノはジェルソミーナと暮らしながらも、気に入った女がいればジェルソミーナを放り出して夜遊び。ある農家の結婚式に余興で呼ばれた折、家を一人で切り盛りする女主人と関係を持つ。
女主人から貰った背広と帽子を着て悦に入っているザンパノ。ジェルソミーナは、ザンパノに愛想をつかせて飛び出すが、連れ戻される。
ザンパノはローマのサーカス団に加わる。そこにいたのが綱渡りやバイオリンの芸をこなす売れっ子のイル・マット。彼は、ザンパノと古いつき合い。ザンパノの芸を馬鹿にして、喧嘩に。二人は警察の厄介になる。
警察沙汰を起こしたため、興業を続けることができなくなったサーカス団は、小屋を畳んで移動することに。ザンパノもイル・マットも首。サーカス団や他の芸人、イル・マットからも誘いを受けるジェルソミーナ。
しかし、ジェルソミーナは、自分は料理もできないし、芸もできない。何の訳にも立たない人間だと落ち込む。イル・マットは、「人間は何かしら役に立つようにできている。ここに落ちている小石もそうだ。そうでなければ、空に輝いている星でさえ無意味な存在なはずだ」「ザンパノは犬と同じだ。犬は、いいたいことがあっても、吠えるだけで言葉にできないんだ」とジェルソミーナを励まし、とザンパノのもとへ連れて行ってやる。
旅を続けるザンパノとジェルソミーナ。海を見て、喜ぶジェルソミーナ。修道院で一夜を過ごす。夜、ジェルソミーナは、ザンパノの妻になってもいいと告げる。しかし、ザンパノは修道院の銀細工を盗むのに一生懸命。思いが伝わらず泣くジェルソミーナ。
ある田舎道、自動車がパンクして止まっている。イル・マットだ。イル・マットは性懲りもなくザンパノをからかう。ザンパノはイル・マットを殴りつける。打ちどころが悪くイル・マットは死んでしまう。
ザンパノは、事故に見せかけてその場を逃げ去る。
ジェルソミーナは、それ以降、「イル・マットが苦しそう」と泣き続けて仕事にならない。目を離せばふらふらとどこかへ行こうとする。ザンパノは、いろいろと世話をしてやるが、ついにジェルソミーナが寝ている隙にいくばくかの金とお気に入りのトランペットを置いて、彼女を捨ててしまう。
何年後か、ザンパノは海辺の町にやってくる。どこからかジェルソミーナの好きだった曲が聞こえる。「この曲は誰が演奏していたのか?」「5、6年前、気の触れた病気の女性が流れ着き、うちの家で引き取った。その女性が気分のいいときにはこの曲をトランペットで吹いていたのだ。しかし、死んでしまった。名前も分からない」と。
サーカス団で怪力芸を披露するザンパノ。生気がなく、芸にも力がない。
夜、飲んだくれるザンパノ。俺は、一人だ。一人がいいんだ、と。浜辺で泣き崩れるザンパノ。
 
※出てくる人が脇役に至るまですべて善人。善人なのに、幸福を得られない。
※飯屋で、二人で肉とスープ、肉とパスタ、ワイン2リットル。おまけで持ち帰りのワイン二本頼んで4200リラ。
※ザンパノは、「男はつらいよ」の寅さんだ。